ユナイテッド生協の店舗研究 〜 ヨークのコープと競合店

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 いまでも無店舗事業(共同購入や個配)が半分を占める日本の生協とは違って、イギリスの生協はもっぱら店舗事業に頼っているわけですが、第二次大戦後のイギリス生協の歴史は、一言で言えば没落の歴史です。かつては基礎的な食品で3割、4割といった圧倒的なシェアを誇り、文句なく流通業界ナンバーワンの座にあったコープですが、いまやシェアは全盛期の10分の1、食品で6%弱、小売り全体では3%弱にまで落ち込んでしまったのです。(それでも日本の生協に比べればまだまだシェアは高いのですが、チェーンストア上位各社と比べると、ひと桁違います。)

 ところが近年、この生協の巻き返しが始まったと日本にも伝えられています。テスコやアスダといった流通チェーンの郊外型巨大店舗にはどうやっても勝てないと悟った生協は、そうしたチェーンとは異なる土俵の地域密着型小型店に活路を見出し、小さな店を中心とした店舗事業へと従来路線を転向している、というのです。

 しかしこれ、どういうことだか理解できるでしょうか? 日本の生協がジャスコやヨーカ堂との競争に負けて、大型店では勝てないからこれからは小型店にするんだなんてこと言ったら、(理念的にはともかく)経営的には自殺行為だと受け取られるんじゃないでしょうか? さらに店を小さくしちゃったら、さらに苦戦することになるんじゃないか、こう判断するのが普通でしょう。

 しかしイギリスの生協は小型店路線こそ生き残りの道だと判断し、実際にその路線は成功を収めている。これは現地の小売店の状況、流通環境を理解しなければ、絶対に理解できないことだと思います。「コンビニエンスタイプの店にすることでイギリスの生協は再生を図っている」なんて言われても、日本ではさっぱり意味がわからない筈で、「生協がコンビニ? 若者相手の店に転換したの?」というような反応さえあるかもしれません。

 私が住むヨークは、ロッチデール公正先駆者組合直系の由緒あるユナイテッド生協(旧CWS=コーペラティブグループに次いで英国第2位の生協)の事業区域ですが、このユナイテッド生協、生協の冬の時代を経て、ついに逆襲を始めました。合併に次ぐ合併を重ねた(ヨークシャー生協も2002年にユナイテッドと合併)結果、現在この生協は500店舗以上(!)を展開しており、さらにライバル業者の店舗を次々に買収して膨張しているのです。ヨークは決して生協運動が盛んな街だとは思いませんが、それでも電話帳を調べると、10店近くの生協の店が掲載されています。おそらくはヨークの生協をめぐる状況は、典型的なイギリスの地方都市におけるそれだと言えるでしょう。

 ヨークを主な対象として、イギリス生協の「小型店路線」とはどんなものなのか、ご紹介しましょう。



ヨークの流通環境と生協 (工事中)



グローサー記事

ユナイテッド生協の快進撃
The Grocer, 11 Dec 2004)



ヨーク以外のユナイテッド生協 (工事中)


ユナイテッド生協以外のコープ店舗 (工事中)


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