研究内容

卒業論文題目
藤本 雄一 ユニバーサルデザインの現状とこれから
〜一人ひとりが住みよい社会を目指して〜
北側 雄一 協同組合での生きがいづくり
〜高齢者協同組合の活動からの考察〜
壷坂 佳未 無店舗事業の明日
〜パルシステムの分析から個配の是非を問う〜
森本 祥一 フェアトレードの可能性
〜生協の取り組みは途上国を救えるか〜
冨江 香織 消費者は広告とどうつきあうか
〜惑わされる現状、そしてこれから〜
正垣 優 食品添加物の表示
〜生活者は何を求めるか〜
寺崎 睦哲 小売業と売り場づくり
〜消費者にとってより良い売り場とは〜
田村 有賀里 中食産業のこれから
〜求められる食と企業戦略〜
吉津 研太 崩壊する食の安全・安心
〜生協が提供する食品表示とは〜
不老地 智美 変化する食文化と食育の広がり
〜生協の取り組みから考える〜
前田 尚子 国民性の違いと環境問題
〜環境先進国ドイツと生協の取り組み〜


書評(2004年 発表)
5/09 角山栄・村岡健次・川北稔『産業革命と民衆』河出書房新社、1975年。
5/13 紀田順一郎『東京の下層社会』ちくま学芸文庫、2000年。
5/27 橘木俊詔『日本の経済格差』岩波新書、1998年。
6/10 大窪一志『生協探検』コープ出版、1992年。
斉藤嘉璋『現代日本生協運動小史』コープ出版、2003年。
6/24 奥田昭則『虹を見た』毎日新聞社、2002年。
7/08 岩垂弘『生き残れるか、生協』、2001年。

第一回発表 『産業革命と民衆
発表者・論題
不老地 智美
前田 尚子

「産業革命時のイギリス労働者たち」
概要

産業革命時の労働者は劣悪な条件で労働を強いられ、不衛生な家にすし詰めにされていた。そしてそれらが引き起こす伝染病など当時の悲惨な状況は現代の人々には理解しがたい。一方で貴族など上流者階級は娯楽のある生活を毎日楽しみ、その娯楽というのは労働者階級の持つ娯楽とは雲泥の差があった。
産業革命は当時のヨーロッパ社会を変え工業が発達し今の社会にも大きな影響を与える改革もあり一見華やかな革命のように思えるがその労働者たちの生活は粗悪でみるにたえない環境だった。その様な時代背景もわかり便利な改革の裏にある社会を知ることができた。 コメント発表の内容が聞く人が興味をもつようにしょうと社会問題ばかりを取り上げてしまった。もっと経済と結びつけて詳しくやればと思った。
司会者
壷坂 佳未
コメント
産業革命期に労働者は低賃金で過酷な労働をさせられていたことがわかった。またその時の娯楽などについてもわかった。

第二回発表 『東京の下層社会
発表者・論題
壷坂 佳未 女工問題から工場法成立まで
概要
女工は工場で粗悪な労働環境の中過剰労働を強いられたため、傷病が多発した。結核などは帰郷した女工によって農村まで広がり国民病となった。農村からの労働力の食い潰しが国家レベルでの問題となり工場法の必要性が叫ばれるようになった。最初の案が出されてから施行されるまで10年以上の年月を要し、当初の内容よりも後退したものであった。他の先進諸国と比べても劣る内容であったことは言うまでもない。
田村 有賀里 岩の坂もらい子殺し事件
概要
この当時、赤ちゃんがまるで物のように売り買いされる「もらい子殺し」が横行していた。養育費付きでもらい栄養不良で殺したり、乞食に仕立てて物乞いをさせるのである。当時の岩の坂暮らしは、今では考えられないほどひどいものであり、明日はおろか、今日食べるものにも困っている状況であった。失業率が高く、失業苦から起こるさまざまな問題も抱えていた。このような貧困や生活地域の環境がもらい子殺しのような非道徳的な事件へと発展させたのではないかと思う。
司会者
冨江 香織
コメント
合宿が終わってからの短期間でこれだけ調べられたことはすごいと思いました。テーマはそれぞれ違ったものでしたが、どちらもわかりやすかったです。おつかれさまでした☆


第三回発表 『日本の経済格差
発表者・論題
加生 知士日本型学歴社会の不平等
概要

戦後から現在にかけて、日本社会は学歴社会へと変貌していった。日本型学歴社会の問題点は、国民の意識が教育を通して能力を引き出し高めるということへの期待ではなく、その課程を終了し得たかどうかというライセンスへの期待にしてきてしまった点である。その背景には、高度経済成長やバブル期の社会全体がそれを良しとする社会構造が形成されていたことが挙げられる。今日、多くの企業が能力重視する中で今後いっそう能力主義の社会へと移行していくだろう。
吉津 研太女性のパート労働問題
概要
今日の日本社会では不況の影響もさることながら、子供の教育費、ローンの返済、老後の蓄えなどが家計を圧迫している。女性の場合、出産に伴い育児や家事と仕事を両立させる事は困難であり、世紀雇用で働く事へのためらいがあるようだ。そのため、パートタイマーに甘んじてしまっているようだ。日本におけるパートタイマーの変遷だが、以前、企業はパートタイマーに対して、「安あがりの使い捨て」としての雇用形態を取っていた。しかし、最近では、一部の企業では企業の中心を担うような、「パート労働者の戦力化」を進めている。欧米では女性パートタイマーに対して、産休などによる母性保護の諸権利システムの基盤が整備されているが、日本の水準はまだまだ低いようだ。
司会者
不老地 智美
コメント

二人の発表内容が両方とも身近に感じられるものだったので、興味深く聞けました。外国にも目を向けた発表だったので視野が広がりました。


第四回発表 『生協探検』 『日本生協運動小史
発表者・論題
寺崎 睦哲生協の商品政策
概要

1950年代後半から始まった高度経済成長の中では、消費者の権利はないがしろにされていた。公害問題や有害食品の問題が頻発しており、市場販売価格についても管理価格によって消費者は不当な高い商品を買わされていたのである。こうした状況を打開するために、生協は組合員を中心に信頼できる商品としてコープ商品を開発した。しかし、今日では組合員とのコミュニケーション不足や「安心・安全」な食品や環境への取り組みが生協の常識から社会の常識へと転換してきたことによって、生協の優位性は失われつつある。そこで、組合員の参加を強めて、商品の見直しと開発をすすめ、商品力を一層強化していくことが望まれる。
南野 祥一生協と福祉
概要
高齢化社会の進む日本において現在重要とされている、社会福祉に対する生協の取り組みについて調べた。生協は福祉活動にも力を注いでおり、組合員主体のボランティア活動や事業活動など、様々な活動を行っている事がわかった。また、「くらしの助け合いの会」について詳しく取り上げてみたが、活動の中に組合員同士の相互扶助の精神が見えた。こういう心が福祉活動には大切なのだろうと感じさせられた。現在、生協だけでなく社会福祉界全体に多くの課題がのこっているが、それを克服する事ができれば、より良い社会になるだろう。
司会者
正垣 優
コメント
南野くんにはコープこうべの福祉などを例に挙げ、福祉について発表してもらいました。寺崎くんにはコープ商品の歴史から生協の抱える諸問題まで洗剤に注目して発表してもらいました。どちらの発表も生協に関する内容なので本当に勉強になりました!!


第五回発表『虹を見た
発表者・論題
冨江 香織 生協の職員教育制度
概要
生協の職員教育制度について調べました。消費者が多様化し、一人一人への対応が求められる中、優秀な人材を育てることは生協にとっても重要になってきています。その点に注目して生協はどのように人材の育成をしているか調べました。
正垣 優 食品からみるプライベート・ブランド〜コープス&トップバリュ〜
概要
近年、個性と差別化の時代に入ってきた。加えて、消費者の食品に対する価格志向が変化してきている。バブル崩壊後、長期に渡る景気の低迷による価格破壊の流れでプライベートブランド(PB)商品が注目されるようになった。そこで菓子・飲料・加工食品に絞り、こーぷこうべのPB商品とイオングループのトップバリュからPBをみていくことにした。トップバリュはPBの首位を独占しており、多くの消費者から支持を得ている。一方、投入されてまだ3年のコープスは少しずつではあるが組合員の支持を得ていて、品目数も増えていっている。このまだできて間もないコープスはコープこうべにとって今後、どんな利点をもたらし発展していくのか目が離せない。
司会者
田村 有賀里
コメント
今、生協の職員の意識の低下が問題になっていることかよくわかった。プライベートブランドの発表では商品を実際に用いて発表してくれたのでとてもよくわかりやすかった。


第六回発表『生き残れるか、生協
発表者・論題
藤本 雄一ちばコープの取り組みからみる、生協らしさ
概要

今回、僕はちばコープの組合員主体の経営姿勢に関心を持ち、おたがいさまシステムやひとことカードに代表される「生協らしさ」といった視点からちばコープを調べてみました。ちばコープでは組合員同士による助け合いの制度があり、庭の草刈りから高齢者の介護まで組合員同士で助け合います。またどんな意見でも書いてもよいひとことカードには、3週間以内に必ず返事を出し、そこから生協独自の商品が生まれたりもしました。その他にも空気を汚さないトラックを積極的に導入するなどしています。 このような取り組みは、他の生協でも行われていますが、特にちばコープは力を入れていると感じました。組合員を一番に考えるという「生協らしい」経営姿勢は、他の流通業者との差別化につながり、また全国的に生協が経営不振の困難に直面している現状を救う手立てになるのではないかと調べていくうえで思いました。 しかし、一方で品質を重視することや、低公害のトラックを導入するといったことはコスト高につながり、商品に価格に反映されかねません。また、リストラなどが行われる可能性もあります。そのようなことが消費者として組合員にとって有益であるかどうかは疑問であり、これからの生協の課題であると発表を通じて感じました。
北側 雄一生きがいコープ東海
概要
めいきん生協の行っている福祉事業の1つの生きがいコープという事業について調べてみました。この事業は、高齢者の生きがいを軸に協同での仕事おこしや、趣味、文化、教養、スポーツなどの手作りの活動を行うサークルなどの多彩なグループのネットワークをする事業をしています。この中の仕事おこしはワーカーズ・コレクティブの形で行われています。ワーカーズ・コレクティブとは、自分達で出資し、運営し、働くという協同組合方式の新しい働き方の事をいいます。この生きがいコープという事業は事業収入がありません。利益を得るためにやっているのではなく、人のためにやっている事業で本当に生協らしいと思うことをしています。これからの生協の未来は生協らしさにあると思います。
司会者
前田 尚子
コメント
藤本くんの発表は生協の中でも大きい千葉コープをとりあげその取り組みについて例をあげ「生協らしさ」を中心に今後の生協の可能性を考えさせられた。北側くんは「生きがいコープ東海」という福祉活動をとりあげ高齢化社会がすすむ今身近な問題をとりあげ「生協」ならではの活動を知ることができた。福祉活動のこれからの社会での必要性を感じた。

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